天才の思惑 増殖する二重星【ネコが演じる 都市伝説 NO.187】
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天才の思惑 増殖する二重星【ネコが演じる 都市伝説 NO.187】
猫が演じる不思議な話。
今日も彼女は会社で上司から嫌味を言われている。
お疲れ様でした。
お先に失礼します。
私がそういうと、
上司は片手を上げ応える。
後輩の彼女はふりかえり、軽く微笑み返した。
もう、何時間、ああして話をしているのだろうか、
少し気の毒になる。
確かに、彼女は仕事が遅い、
海外で育った為なのか、
日本の企業での習慣などに慣れていないのだろう。
超がつくほどの高学歴の後輩。
名門ハーバード大学を卒業して、
なぜか日本に帰って来て、
こんな片田舎の小さな中小企業に就職したという。
なぜ、こんな小さな会社に入社したのか、
当初は、まったく理解できなかった。
彼女の経歴なら、
一流の大企業に勤めていてもいいはずなのに。
会社を出ると、
夕方なのに、
まだ夏の太陽の日差しが眩しかった。
手元の温度計を見ると、気温は36ど。
気象データによると、猛暑というやつだ。
帰り際、コンビニで飲み物を2つ買い
自宅のマンションを目指す。
これは偶然なのだが、
後輩の彼女は同じマンションの隣の部屋に住んでいる。
今日も帰りは遅いのかもしれない。
あ、先輩、今帰りですか?
あ。お疲れ様。
ちょうど、帰宅したのか、
本物の彼女は玄関ドアの前で、
鍵を探していた。
お疲れ様です。
あ、もしかして、
今日も、4号は帰り遅いですかね?
あ、今日も怒られてたよ。
そうですか、やっぱり、
まだ、調整が必要ですかね。
あ、これ飲み物、買ってきたんだ。
後で渡してあげて。
お、ありがとうございます。
後で渡しておきますね。
んじゃ、今日もお疲れ様でした。
あ、はい。お疲れさま。
彼女が部屋のドアを開けると、
冷房で冷えた空気が漏れ出した。
ドアの隙間から覗くと、部屋の奥には、
何体もの等身大の人型の模型が眠っている。
なぜ、会社にいたはずの彼女が今ここにいたか。
これは、たぶん、私しか知らない。
彼女の秘密。
そして、他の誰も気付いていない。
今、話していた人間の彼女は、
大学でロボット工学を専攻していたらしく、
自身に似せて作ったアンドロイドを、
会社に出社させて、働かせている。
会社で怒られていたのは、アンドロイドのほうだ。
こんな話、誰にしても信じて貰えないと思うので、誰にも話せていない。
それに、話そうとしても、
なぜか声が出なくなり話せない。
ふう、今日も疲れたな。
私にも作ってくれないかな。
手元の腕時計を見ると、
もう、バッテリーの充電が30パーセントを切っている。
今日は、コンビニで買った。
このヒエヒエのオイルを飲んだら、
すぐに寝よう。
やっぱり、人間の脳にチップを埋めただけの2号は
もう少し調整が必要か、、
あと、2号は説教好きを直さないとね。
完全なロボットの
3号は自分を人間だと思っている。
機密情報管理システムは良好。
私、そっくりに作った4号は、
ちょっと作業速度が遅いかな。
人手不足解消の為に、
人口アンドロイド化計画で
日本に呼ばれたけど、
やっぱり、光を利用した、
特殊光圧ホログラムのほうが、
メンテナンス無くて楽かもね。
ネコが演じる 都市伝説 NO.148で紹介した、
特殊光圧ゾンビが流行りだす
数年前のストーリー。






