迷霧の残響【ネコが演じる 都市伝説 NO.179】
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迷霧の残響

猫が演じる不思議な話。
これは、もう何十年も昔の話。
とある静かな海外の田舎の街、
特に名産品も名所もない。
隣の家とは最低でも2キロは離れている。
本当に何もない、
そう思われている小さな街だ。
そんな街に、人知れず
ある天才が住んでいた。
彼女は幼少の頃から、あまり家から出てこない、
両親が亡くなってからは、
馬に乗り買い物に出てくる時に姿を見る程度である。
彼女は周りからは、
変わり者と思われていた。
容姿は美しく、その頭脳は世界屈指、
しかし、その能力に気付いている人間は
誰も気付いていない。
そして、彼女自身も気付いていなかった。
そんな、彼女を当時、
一躍有名にした発明品がある。
耳に装着すると、
遠くの音まで拾える【ラビットイヤー】。
その発明品が音を拾える距離は最大100キロメートル。
大きな音量が聞こえた時は、
自動でコントロールされ、耳や脳への負担を軽くすることができる。
現在で言えば、人工知能に近い機能を備えていた。
彼女はその機械を、
あろうことか自身の耳に埋め込んだ。
なんの為に彼女が、そんなことをしたのかは、
周囲の人間には理解できなかった。
自身で手術を施し、移植しているのだ、
もはや狂気の沙汰であった。
当初、街の住民は彼女の行動を理解できず、
腫れ物として扱っていたのだが、
話してみると、
彼女は未来の天候や野生動物が多くいる良い狩場などをピタリと言い当てる。
この能力により、
彼女は街で良い意味でも有名人となったのだが、
不思議な事に
機を同じくして、畑にミステリーサークル、
空には謎の飛翔物体が確認される様になる。
周囲の人間は、噂をし始めた、
きっと、彼女は宇宙と交信しているのではないかと。
彼女の能力は、
良い町おこしになるのではないかと。
そして、人々は、その噂を都会のマスコミに売り込み、
取材の依頼をしたという。
その情報を彼女が聞いていたかは分からない。
しかし、
ゴシップ記者は情報に飛びつき、
一斉に彼女の家に押しかけた。
車という文明が出来始めた頃の事だ、
集まるのは早かった。
扉を叩き、彼女を待つが、
全く反応がない。
家の中を覗いて見ると、
彼女は気絶していた。
騒然となる中、誰かが救急車を呼んだ、
けたたましいサイレンを鳴らし、
救急車が着いた時には、
彼女は呼吸をしていなかったという。
そう、彼女は知らなかったのだ、
この世界には人間や動物よりも大きい音を出す物が存在する事を。
後日、
彼女の家に忍び込もうとした、
ジャーナリストがいた。
しかし、彼女の家があった場所には、
地面を抉り取ったように、大きな穴があいているだけだったという。
彼女の遺体も、くだんの発明品も、
いつの間にか、
音もなく病院からなくなっていた。
人間一人の知識には限界がある。
この世の中は広く、
知らないことのほうが多いという。
自身の知識だけを信じると、
思わぬ落とし穴があるのかもしれない。
余談だが、彼女がいたベッドの上には、
円形に並んだ文字の様な物が焼き付いていた。
これは、現代でも解読されていない。
現在、その場所はフェンスが作られ中には入れない。
しかし、満月の日に人々が夜空を見上げると、
月面にはウサギのような影を確認することができるようになったという。
人々は、その土地をエリア51と呼ぶようになった。
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