ノロイのリモコン【ネコが演じる 都市伝説 NO.164】
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ノロイのリモコン
もう夏かと思わせるような蒸し暑い夕方。
突然の雨で湿度が上がった為か、
お葬式帰りの制服に染み付いた線香の香りが鼻をつく。
机の上に置かれた、
小さな液体の入った小瓶を指で揺らしながら友人の戻りを待つ。
お待たせ。
これで体を拭いて。
紅茶も淹れてきたから、遠慮せずに飲んでね。
差し出されたタオルを受け取り、
肌に張り付くワイシャツの上から体を拭う。
少し肌寒さを感じながら、
友人の部屋に備え付けられたエアコンを見上げ尋ねる。
それで、このエアコン?
私の家のと大して変わらないけど。
何がすごいの?
そう尋ねると、
隣にいる友人は少しかがんで、
サイドテーブルの上に置いてあるリモコンを手に取った。
その容姿が美しいだけなく、
流れるように静かな所作からも、
目の前の少女の育ちの良さが伝わってくる。
先週、リモコンを床に落としてしまって、、、
気付いたことがあるのよ。
そういうと、
静かにリモコンの裏側の蓋を開けてみせた。
外した蓋には、何か文字が書いてある。
【鬮倩ゥ穂セ。繝√Ε繝ウ繝阪Ν逋サ骭イ縺企。倥>縺励∪縺吶?】
なにこれ?なんて読むの?
なんだか、、、少し怖いね。
うん。私も読めなくて、
スマホで写真を撮って検索してみたのよ。
そしたらね。
呪いの文字?
え。。これ呪われてるの?
違う、違う。
よく読んで、呪いをかける呪文。
長く艶のあるきれいな髪をかき上げると
彼女から漂う柔らかく清潔感のある香りが部屋を包む。
この文字が書いてある物は呪物できて、
その物の性質によって、呪いも変わるらしいの。
それでね。このリモコンの性質って何かな。。
って思って、こないだ、ホームルームの時、
先生に向けて温度を下げるボタンを押してみたのよ。
え。。
人間の適性体温ってね、
ワキ下検温の計測結果で36~37℃程度
低体温でも35ど台なの、
34℃以下になると血圧が降下して、
大脳の活動が低下、呼吸が弱まる
27℃以下になると、
意識がなくなり昏睡状態。
20℃以下になると心臓の動きが阻害され死に至る。
このエアコンの温度設定は、
17℃〜30℃、どの設定でも、生きてられないわね。
あら?紅茶飲まないの?
冷めてしまうわよ。
え。。ちょっと、待って、、そんなことより、、
先生って、今日、お葬式だったよね?
そうね。
だって、本当に呪いがかかるなんて、
思わないでしょ?
え。。冗談でも不謹慎だよ。。
そういうの、やめたほうが良いよ。
そうよね。
ごめんなさい。
つい誰かに話したくなってしまって。
だって、、、
自分のものにならないなら、、
存在しないほうがいいでしょ?
え、、どういう意味?
彼女は立ち上がり、
おもむろに机の上の小瓶を引き出しにしまう。
あら、雨止んだのね。
今のうちに帰ったほうが良いんじゃない?
あ。。うん。。
ねえ、この文字、最初から書いてあったの?
なにか言った?
いや、何でもない。。
触れてはいけない、知ってはいけない。
何かを感じたという。
また、学校でね。
玄関を出て、
帰り際振り向くと、
窓辺に立つ友人が件のリモコンをこちらに向けて立っていた。
呪いの効果については、
その証明が不可能であり、
結果を発生させる危険がないという理解から、
犯罪には該当しないという。
しかし、
場合によっては、脅迫罪、傷害罪、器物破損などに問われる可能性がある。
もちろん、呪いで人が命を落とす可能性は低いのだが。。






